21歳の僕が、スタートアップでただ一人のデザイナとして創業から1年間働いて学んだこと

KeijiroToyoda
13 min readJun 20, 2018

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資金調達のプレスリリース用に創業チーム4人で撮った写真、お気に入り(左からエンジニア町田、豊田、CEO井手、COO綾部)

こんばんは。初めましての人は初めまして。@toyojuniことデザイナの豊田です。

軽く自己紹介をしますと普段はFlattという会社のCCO(Chief Creative Officer)としてアレやコレをしたり、東大工学部航空宇宙工学科の学部3年生として勉学に励んでいなかったりします。

さて、実は96年生まれの僕は本日6月20日で22歳を迎えてしまったわけですが、東大の同期である井手(@niconegoto )に誘われて立ち上げた株式会社Flattも約1か月前である5月23日に設立1周年を迎えました。これまで一つの事業にフォーカスして無事やってこれたのは一重に株主をはじめとした応援してくださる皆様、そしてかけがえのない仲間のおかげな訳ですが、とにかく学ばせられる失敗も多かったように思います。

Flattのこの一年の振り返りは社長井手のブログが詳しいので是非。

僕も会社も節目の時期ですので、一つここで振り返りの記事を書きたいと思い筆をとりました。一応ターゲットを定義しておくと、ITスタートアップの人向けではありますが特にデザイナ向けと言うわけでもないです。ただ、こう言うデザイナもいるんだな〜ということでエンジニアほど業界・文化が成熟しておらず様々な言説がインターネッツ上で飛び交うデザイナと言う職種の、輪郭の定義の一助になれば幸いです。

この1年間自分がしてきた仕事

まず前提として、僕らの会社は俗に言う「学生起業」というものになります。創業メンバーは全員学生ですし、15人ほどになった現在もメンバーはほぼ全員が学生です。ちなみに自分は昨年は3年次を休学してフルコミで働いていました。その上で見えてきた様々な事実・課題を書き連ねていくブログになります。

さて、弊社がどういった事業をやっているのか、平たく言うと若い女性向けのファッションEコマースです。しかし通常のEコマースではなく、中国で興りを見せた販売形態であるライブコマースを導入し、ライブ配信基盤と決済機能を実装したアプリが弊プロダクト「PinQul」でした。

商品の認知から決済までを一つのアプリで完結させ、さらにライブでCVRを高めると言うのが基本的な戦術になります。

プロダクトリリース前に作ったので素材がなくぱくたそ頼りまくりなモック

では、このプロダクトに対して僕はどのような仕事をしてきたか。

スタートアップの常ですが、仕事の内容は肩書きにとらわれないアクロバティックなものになりますし、僕のやってきた仕事を時系列に列挙してみると

  • コーポレートサイトのデザイン・実装
  • コーポレートやプロダクトのロゴのデザイン
  • iOSアプリのUIUXデザイン
  • Adminツールのデザイン・スタイリング
  • プロダクトのLPのデザイン・実装
  • イベント登壇とか取材受けたり(CDO Night/CAREER HACK)
  • 自社で展開したPB(プライベートブランド)周りのクリエイティブ制作
  • PB商品の写真撮影(アマチュアですがそこそこ撮れます)
  • 適宜LPをデザイン・実装
  • AndroidアプリのUIUXデザイン(これはほぼiOSをなぞる形でしたが)
  • デザインガイドラインの策定
  • PinQul Web版のデザイン・スタイリング
  • クリエイティブ雑務(ステッカー作成や名刺入稿など)

と言ったデザイナとしての仕事以外にも

  • PR戦略を練ったりプレスリリース文を書いたりメディア対応をしたり
  • 「メール書くのがうまい」と言う理由でCSの責任者っぽいポジだったのでユーザーのお問い合わせ対応をめちゃめちゃしたり
  • 基本的に仕事中に常にTwitter見てたり

と、まあ本当に色々やっていました。ここに書ききれないものもいっぱいあります。ちなみに、弊社には優秀なエンジニアがいっぱいいますが彼らが真にクリエイティブになる時間を奪わないためにスタイルシートを1行も書かせていないのは僕のちょっとした誇りです。(もちろんCCO名乗るならそういうフェーズは抜けなければいけないわけですが!)

ただこのようななんでもやる姿勢は自分の性分にはあってた気がします。初期のスタートアップメンバーに求められるのは野武士力ですから。

CSをやっていたことも非常に良かったと思ってます。普段からユーザーの生の声にもっとも触れられる場所ですし、プロダクトだけでなく社内の仕組みの改善提案もできます。

勿論ここで言いたいのは「俺こんなに手広くやってたんだぜすごいだろ」なんて話ではなく、むしろ最初期のスタートアップは大体こんな感じだと思ってますしこう言ったなんでもできる人材が偉いとも限りません。下手したらただの器用貧乏にもなりかねない。

超小規模スタートアップでこのような働き方をすることで次の章で語るような事実が見えてきたので、その前提として頭に入れていただければ幸いです。

インターンしていた一年間と、起業した一年間の違い

僕の前職はラブグラフと言うところだったのですが、僕はここで大学2年生の間デザイナとしてあんみつ師匠のもとでインターンさせてもらっていました。

今でもめちゃめちゃ仲良くさせてもらっていますが本当に素敵で優秀な人ばかりの環境で、webデザインやコーディング、gitの使い方にとどまらず「プロダクトを作る」という働き方やマーケ的思考など色々叩き込んでもらいました。

振り返ってみるとインターンをしていた大学2年の1年間は「自分が身に付けたいと思ってるスキルが見えていて、それらを貪欲に習得していった1年間」でした。

ではこの1年間、一組織のクリエイティブのトップとして起業を経験した1年間はどのような1年間だったか。結論から言うと「自分が身に付けていなかったスキルの数々を現実として突きつけられた1年間」でした。

勿論成長がなかったと言うわけではなく、むしろ自分としてはこれまでの人生で最も成長したと思えた1年間でした。しかし、無力感の方が多かったように感じます。すごい平たくバカっぽい言い方をすると「いやあ、起業って思ったより難しいすねガハハ」って感じなのですが、このあまりにも単純でしかし自らやってみないとわからない事実に気づけたのは本当に21歳にしては贅沢な経験だったと思います。自分より若くこの経験をしてる人々には頭が上がりません。

自分に足りなかったものをまたまた雑に列挙してみると、ファイナンス・人事評価制度・PM・アジャイル開発・組織マネジメント、そして経営というものへの向き合い方といったところが大きな枠では言えますし、それらに紐づく小さな知見が無限にありました。

結局、0→1をやっていくということは僕をただのデザイナでいることを許してくれなかったようです。この辺シェアするのって言葉ではなんとでも言えますが実際やらないと何もわからないと思うのでとりあえず #起業しろ

大体組織の問題に帰結する

色々学びはあったんですが、個人的にはスタートアップで諸々起こる問題は大体組織の問題に帰結するんだなと感じました。

この問題を弊社エンジニアマネージャー町田が社内文化の側面から考察した記事もありますので是非。(弊社みんなブログ書いてて偉いな)

僕の場合はまず最初に、デザイン実務上の様々な悩みをかけるフェーズがあります。良いデザインとは。効率の良いツール選定とは。みたいな。

次に人が増えると組織の問題に悩むフェーズがきます。幸いみんないいやつなので組織自体に問題があるわけではないんですが、意思決定の数やタスク整理、優先順位づけなど人数が増えたことに起因する諸々の問題が発生します。

ここまでは僕も体験したフェーズで、じゃあ次にどういったことに悩むフェーズが来るのだろう、もしくは最後まで組織の問題なのかと言うのが個人的に気になっていました。

先日CXO Nightというイベントがあり、若手セッションの後にTakram田川さん、IDEO田仲さん、THE GUILD深津さんと豪華メンバーでのシニアセッションがありました。そこでのお話はバリエーションに富みとてもハイレベルだったものの、個人的にはやはり組織の課題の解決がメインの議題になっているなーと感じました。

歓談タイムで田川さんに上記の点を伺ってみたところ、基本的には後者で、組織の問題がずっと付いて回るとのことでした。そこでいただいたアドバイスが大変実践的だったのでシェアします。

組織ってのは2の冪乗で大きく変わって来る。1人→2人のフェーズがあり、次に2→4、4→8、8→16、…256→512、512→1024と言う風に。

君はすでに8→16まで体験していてそれはとてもいいことだ。フェーズごとに違った課題が出て来るだろうけど、256までいってしまえばそれ以降は同じ組織内でも個別の組織っぽくなるから256人までの組織をマネジメントできる人間をそれぞれのトップに据えればいい。

まあ結局僕は15人ほどの規模までしか体験できていないわけですが、それは上の図式で言うと3フェーズ(2人目なので)を体験できていると言うことなので一定の自信にはなりました。また同時に16人の壁は感じているところだったのでこの指摘の的確さにシビれました。

そのドメインで戦っている人間以外の情報発信はクソ。読む価値ない。

少し別の話題に触れます。これもこの1年間で痛感したことの一つです。

僕らのやっている事業は普通にEコマースなわけですが、「ライブコマース」というバズワードのくくりでみられることも多かったです。(逆に僕らもそのくくりを利用してPRしていたのでそれはいいのだけども)

また、僕は基本常にTwitterを見ていますが、業界の最新情報を得るためにTweetdeckで「ライブコマース」「PinQul」の検索のカラムを作って監視をしています。

最近は「ライブコマース」のカラムにはメルカリチャンネルのユーザーの人が増えたのである意味平和(ある意味地獄だけど)なのですが一時期はライブコマースに関する様々な言説が飛び交っていて割と地獄な感じでした。

バズワードですからしょうがないんですが、その領域に関してちょっと調べて発信することでフォロワー増やしたりおっさん向けに売り込む情報商材にしたりと、そう言うのが多かったですね。

多いだけなら何も問題じゃないんですが、見ていてまあ質の低いこと低いこと。僕の嫌いな某氏がライブコマースに関して書いた記事を読んだ時には声出して笑っちゃうレベルでした。そんなこんなでそのドメインで戦っているプレイヤでない限り発信されてる情報に価値はないんだな、とこの一年で強く思いました。逆に言うとこのスタートアップ界隈で戦っている人の記事は本当に学びしかなく大好物です。例えばYamotty師匠とかね。

まあそういったプレイヤの記事はポジショニングトークを含むこともままあるのでそこは自分で判断しなければなと言う感じなのですが。。。

王道を行くことの大切さ

背景が無限にありすぎていちいち書きませんが、アイデアドリブンではならずユーザの課題と向き合い継続的な改善を重ねていく、こんなみんなが言っていて当たり前の事実にようやく本当に気づけた気がしました。

この辺はリアルで話した時に語るので飲みにでも誘ってください。(8月夏休みになるまで現状予定がいっぱいいっぱいなので厳しいですが…)

自分が目指したいところ

この記事に書いたようなことを踏まえ、この前社内向けに自らの短中長期目標を書いたので一部ぼかしますがここに置いておきます。短期目標は具体的な社内向け要素ゴリゴリなので隠しますゴメンナサイ

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長期目標(10年目標)

クリエイティブおじさんになる

20代のうちに業界で自分の上下5年ずつ10世代分の人間を見たときに自分がナンバーワンの人間になる。

ベンチマークは***さんや***さんや***さんや***さん。超えるけど。

必要な要素は

  • webだろうがUIUXだろうがCI/VIだろうがジャンルは問わずに圧倒的なアウトプットを出せる実力。
  • デザイナー1人から20人くらいの大規模チームまで組織を成長させ、作り上げてきた経験。
  • CCOとしてプロダクトのグロースと経営に携わってきた経験。他の会社に顧問として入って大金もらうぐらいはできてるべき。
  • 強めの人脈。特に年下とのつながりを意識したい。

中期目標(2–3年目標)

上の長期目標からブレイクダウンすると、

  • とにかくFlattの事業を伸ばす。施策と失敗と成功を繰り返すしかない。
  • デザイナチームのマネジメントをしていく。自分が手を動かさなくてもFlattのデザイン改善が進むように。
  • 副業はやはり必須。人脈形成、Flattの事業ドメイン以外を上流工程から知る、広い範囲でクリエイティブを生み出す経験、アウトプットの公開をするだけでフォロワーも増えるしでメリットしかなく、自分自身ひいてはFlattのデザイン組織のブランディングのためにはとても大事。
  • さっさと学部卒業してフッ軽に後輩や先輩を飲みに誘えるようにならねば。

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と、まあこんな感じです。***の中身が誰か気になる人も飲みに誘ってください。(飲みたいだけ)(本人はわかってそう)

デザイナ募集してるよ!

株式会社Flattではデザイナを募集しています!

html,cssのコーディングができて、sketchでのUIデザインもそこそこ以上できて、何よりガツガツ感がある人!待ってますのでお気軽に豊田にDMください!

終わりに

なんか思ったよりも長い記事になってしまった!長々とおつきあいいただきありがとうございました。

ちなみに僕は情報発信してる暇があったらアウトプットせいと言う人間なので普段ブログなんて書かないんですがなんでこんなの書いたかと言うとお決まりのアレのためです。

誕生日プレゼント待ってます!

それでは〜

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KeijiroToyoda

デザインに多少詳しくて、サイバーセキュリティの仕事をしています